140字でおさまんないこと

見たい人だけ見てくれ

『青野くんに触りたいから死にたい』ダイマ

青野くんに触りたいから死にたい

作品読んで作品について考えてたら止まらなくなった。

ダイマする。

 


この作品、ハマる人は絶対に超ハマる。えげつな面白い。

あらすじとしては、主人公・刈谷優里ちゃんが隣のクラスの男の子青野龍平くんに恋をし付き合ったら直ぐに彼が死んでしまい、幽霊になった彼と生活を共にするうちに怪異に巻き込まれていくというものだ。マジ、ちょっと説明しづらいからまず読め。こんなちゃちなあらすじに彼らの面白さはない。

ではどこが面白いのか。1つ目に挙げられるのは、作品内での幽霊の扱いについてだ。この作品、主人公の彼氏がマジで序盤で死ぬ。確か1話とかで死ぬ。そこから彼は幽霊になる。彼の死がショックで命を絶とうとした優里ちゃんの前に青野くんが現れるところから話はようやく始まるのだ。この作品内で幽霊たちはあるルールに則って行動している。というか、きちんとルールに則ってしか活動できないと言った方が正しいかもしれない。作品内で解明されていくのであえて名言はしないが、(私はよく2chとかのパラノーマルチャンネルとか読むんですけど)ああいった類の法則性がある。この作者天才か!と思った具体例をあげると、ある部屋に入ろうとした幽霊は中にいる人間の許可がないと部屋には入れない、というものだ。いや、分かんないかもしれないけどこれがマジで結構重要で、こういうルールが根底に描かれてるホラー作品(漫画)全然見ないから本当に私すっげえ感動してしまったのだ。そういった法則に基づく幽霊の扱いがこの作品では随所に見られる。

 


次。

次の面白いところは、恐怖の表現方法だ。この作者、はっきり言って絵がとてつもなく上手いわけじゃない。でもコマの一つ一つがとても丁寧に描かれている。そこが歪でとても恐ろしい。上手く表現出来なくて恐縮だが、ダイレクトに登場人物の感情が伝わってくるのに視界がイラストに対し違和感を訴える。そこが感情と思考の中で妙なミスマッチを生み出しこの作品全体を不気味なものに仕上げているのだと思う。あと、登場人物の人間性の設定と描写が天才的すぎる。この作者はこの作品以外に一つ短編集が出版している。そこでも如実に感じるのだがこの作者が描く人間はみんなどこか歪んでいるのだ。絶対に1人はこんな人間近くに居るよなみたいな歪んだ人間を描くのが超うまい。内臓えぐられる。よく描けるなこんな描写ってむっちゃ思う。超大好き。3巻あたりでやっと出てくる登場人物・優里ちゃんの姉が個人的には大好きだ。というか優里ちゃんの家庭が大好き。もうハチャメチャに歪んでるんだあ。でも誰もそこに気づいていないのが超好き。あとコマ割りがえげつない。いやいやこんな大コマにこんなえぐいの持ってくんな、怖い怖い、大好き。って絶対なる。すっげえホラー。しかも造形がグロいとかじゃなくシチュエーション的怖さだからもうやばい。天才だよ椎名先生は。登場人物と吹き出しと背景とか、絵としての引きというか……。まあとにかく天才なんだ。

1番最後になってしまった。最後の魅力は、優里ちゃん青野くんカップルの可愛さと悲しさだ。何度も言ってるが青野くんは物語の最中ずっと幽霊だ。生身の優里ちゃんと青野くんが触れ合う描写は一切ない。まじで悲しくなるくらい全然ない。だから、彼らは人間と幽霊ならではの触れ合いをする。霊体の青野くんが優里ちゃんの枕に体を重ねて実際に青野くんに抱きついているように錯覚させたり、自分の手と相手の手を重ね自分の手を相手の手に見立てて服を脱がしあったり……。最初は枕と一体化した青野くんに笑ってしまうのだが、だんだん話が進むにつれ彼らの触れ合い方法に悲しさしかこみあげてこなくなる。どうして彼らは幸せになれないのだろう、互いが好きなだけなのにどうしてこうなってしまったのだろう。そして、物語はどこに進むのだろう……。

 


青野くんに触りたいから死にたい

は現在4巻まで発売中だ。その4巻もつい先日発売されたので続きは来年5月になるらしい。

マジで早く完結して欲しい。完結して欲しくないけど。

4巻まで読んだ人と語りたい。だってもう恐ろしすぎる。無意識のうちに私達は青野くんはとってもいい人と刷り込まれてたけど実際生きていた青野くんの描写は限りなく少なくて、彼の家庭環境とか彼がどういった価値観の持ち主なのかは全然最初から明言されていなかった。それは大体の漫画という作品に対して当てはまるものだとは思うけど(登場人物の親や家庭環境が出てくる作品は中々ないと思う。またはそれらは特筆して描く必要がないと私が思っているからか……。)それを何だかんだ逆手に取られた気分で私は目からウロコだ。私だけかもしれないけど!

この作品、暗殺教室とか僕だけがいない街と似た雰囲気を感じる。上記二つはどっちも絶対1番最後の終わり方は確実に決まって始まった作品だと思う。だからこそ作品の随所に伏線が張り巡らされている。

だからこそ、面白い。

自論だが、完結を目指して展開していく作品ほど面白いものはないと思う。なんてったってもう高揚感が違う。作品を読み返す手が止まらない。ああ、もう本当に大好き。

 


話のオチが付けられなかった……。

とにかくパラノーマルチャンネルとか好きな人は私に声掛けて欲しい。もしくは買って欲しい。買って絶対損は無い。面白い。呼んでね。

 


おやすみなさい。